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発酵食品・手作り食品を通じて健康と笑顔を届ける研究開発企業。

厚生産業株式会社
代表取締役社長 里村 俊介

更新日:2024年6月05日

1982年、岐阜県生まれ。大学卒業後、食品メーカーに就職。7年間の勤務を経て、2011、厚生産業株式会社に入社。MBA(経営学修士)取得。2023年4月1日に代表取締役社長に就任し、現在に至る。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

個人依存の創業者時代から、組織体制を整備した先代社長時代。

厚生産業株式会社は1959年に創業しました。創業者である私の祖父は、薬屋を営む薬剤師でした。当時、たくあん用のウコンなど漬物の原料は薬屋で販売されていましたが、個別に販売されていた漬物の原料を薬剤師が持つ調合技術を用いて混ぜ合わせて「漬物の素」として販売したところ、便利さと絶妙な調合がお客様に支持されて大人気となりました。

二代目の父は、自らには創業者のような調合技術がないため、技術者や研究開発人材を採用して個人依存にならないように組織化を進めました。

さらに先代(二代目)社長は京セラ創業者である稲盛和夫氏が考案したアメーバ経営と理念手帳を強力なリーダーシップによって当社に導入することにより、個人依存の少ない組織体制を確固たるものに仕上げました。このような過程を経て組織化された調合技術は今でも当社の強みの根幹となっています。

先代社長からのタスキを受けて。

私は2023年4月に代表取締役社長に就任しました。先代社長が固めてくれた組織体制を武器に事業を伸ばすことが自分の使命だと考えています。当社の商品には決して派手さはありません。また、食品ゆえに需要が安定している反面、急にブレイクすることも想定し難いので、社内の意識は自ずと新規事業に向きます。

それゆえに、まだまだ可能性を秘めているにも関わらず漬物の素や米麹商品において機会損失があるのではないかと考えています。まずは、まだ大きなポテンシャルを持つ自社の既存商品に注力してシェアを伸ばすことを優先しています。

既存事業のてこ入れだけでなく、並行して新規事業も進めています。新たに米麹由来の成分を化粧水や乳液などの基礎化粧品の原料として販売していますし、小麦など米以外での麹製造も新事業として進めています。

麹商品のバリエーションを増やし、基礎化粧品など新規事業も展開。

「漬物の素」からスタートした当社は、多種多様な「漬物の素」を開発し、JAなどの販売店を通じて一般家庭へと提供してきました。多数ある商品の一つが「麹漬けの素」で、これが漬物の素に続く二つ目の商品群である麹と当社との出会いです。この商品をきっかけに麹の持つ可能性に着目して麹の商品化に本格的に取り組み、麹商品のバリエーションも増やしてきました。

「漬物の素」も麹商品も販売店経由で消費者に提供することを想定している完成品で、商流は「B to B to C」ですが、主に麹において原材料や中間原材料の「B to B」取引も増えています。

自社商品に麹を入れたいというニーズや、独自の麹を開発してほしいというニーズを既存顧客だけでなく新規顧客からも当社に多数お寄せいただいています。このことからも麹の持つポテンシャルの高さを実感しています。

その米麹を基礎化粧品の原料とする新事業も立ち上がっており、化粧品分野における今後の広がりにも大いに期待しています。

独自性を追求し続けることで生まれたいくつものナンバーワン。

意図的にニッチ戦略を採用してきたつもりはありませんが、当社の独自性を追求し続けてきたら結果的にニッチ市場をターゲットにしていたというのが正直なところです。

しかし、その結果として当社にはいくつもの非公式ナンバーワンがあります。非公式とは、ニッチ市場ゆえに業界団体や同業者組合などが存在しないため公式な記録ではありませんが、当社が調べた限りではナンバーワンで間違いなさそうという意味です。

まずは、「粉末の漬物の素」の販売シェア。漬物の素は液体商品が圧倒的に多く、粉末はニッチ市場ではあります。しかし、その中では当社がナンバーワンだと自負しています。

次に「ぬか漬けの素」や「麹の販売」においても当社がナンバーワンだと自負しています。これらは公式記録ではありませんが、公式記録のナンバーワンもあります。

それは、楽天市場での「甘酒」ランキングのナンバーワンで、これは楽天からオフィシャルに発表されています。このようにいくつものニッチ市場でナンバーワンであることが当社の強みです。

多方面から生まれる新商品。

新商品は社内の開発部門から生まれるのが一般的なプロセスだと思います。当社でも開発部門発の新商品が多いのですが、開発部門以外から生まれる新商品もあります。

その一つのルートがお客様の声です。当社がユーザーである消費者に直接販売する機会はネット販売やイベント販売などに限られていますが、そのような機会を通じて消費者と直接コミュニケーションしています。

また、当社の販売先である流通業の担当者からお客様の声を聞いて、その声を既存商品の改良や新商品開発に最大限に反映させています。そこから生まれたヒット商品もあり、さらに社員の声から生まれたヒット商品もあります。このように多方面から新商品が生まれるのも当社の「組織を超えた連携力」ゆえだと考えています。

大企業ではないものの100名を超える従業員がいるといつの間にか組織が縦割りになる危険性があります。それを避けるために、月1回の会社全体での朝礼やソフトボール大会・社員旅行・懇親会などのレクリエーション、会社周辺清掃などのボランティア活動に部門を超えて参加する機会を設けています。

その結果、「連携」「コラボ」などの言葉を使わずとも、当たり前のように組織という枠を超えて一緒に仕事をしているのが当社らしさだと思います。

これからの厚生産業。

今後の目標は二つあります。一つは、「漬物の素」でナンバーワン企業になることです。粉末の「漬物の素」ではナンバーワンですが、「漬物の素」は液体市場の方が圧倒的に大きく、そこにはガリバー企業が存在しています。すぐに追いつける差ではないのですが、いつかは液体も含む「漬物の素」市場でナンバーワンになることを目指し、現在の歩みを加速したいと考えています。

もう一つは麹の第一人者になることです。今でも「麹で困ったときは厚生産業」と言ってくださるお客様もおられますが、さらなる研鑽が必要です。麹のメカニズムの研究を深め、様々な商品開発のチャレンジを続けることで、自他ともに認める麹の第一人者になることを目指しています。

これらの目標達成を支えてくれるのは「人」です。当社では、これまでもこれからも、理念に共感してくれる人、チームプレイのできる人、労働に価値を見出せる人を仲間として迎え、共にこれらの目標に向かって進んでいきます。

この二つの目標を目指すことが、当社が理念手帳に掲げている「全従業員の物心両面の幸福」を高め、そして地域や業界、ひいては国民の健康への貢献に繋がると考えています。

編集後記

コンサルタント
三田 泰久

以前から同社の商品は知っていましたが、会社の歴史や商品の誕生秘話を聞かせていただいて、商品の味わいも更に深くなりました。「見ようによっては甘いと言われるかもしれませんが、働きやすい会社だと思いますよ」とおっしゃる社長の笑顔から、社員に対する大きな愛を感じました。

同社の会長も社長も京セラの稲盛名誉会長率いる旧盛和塾の塾生で、私も末席の塾生でしたので、理念手帳に「全従業員の物心両面の幸福」を掲げる同社の施策は共感できることばかりで、自社でも採り入れたいと思うこともたくさんありました。

微力ですが、「漬物の素のナンバーワン企業」と「麹の第一人者」の実現を目指して採用からサポートさせていただきたいとの想いを強くしました。

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